【 人は変われる 】 K.K.(14才)
僕は、2004年7月に少林寺拳法の拳士になりました。
当時の僕は、ひどいいじめを経験し、ぜんそくや自家中毒になり、幼稚園を中退。家にいるか病院に
入院する日々が続きました。ある日、思いつめて母と共に、近くの交番に行きそのことを相談すると、
山下先生のおられる高上道院を紹介され、見学に行きました。そして母と相談し、「もういじめられな
い強い人になろう」と決心して高上道院に入門したのです。
入門して数年間は、まだ入退院を繰り返し、体も弱かったのですが、修練にはどうしても行きたくて、
入院中でもお医者さんに頼んで点滴を外してもらい、修練に行き続けました。山下先生の近くに行くだけで
大きな安心感があり、がんばれる自分がいた気がします。
少しずつ何かがかわっていく中で、僕はお医者さんから「アスペルガー症候群」という障がいがある
ことを告げられました。個性が人一倍強いこと、人との関りが難しいこと・・・一緒に説明を聞いた母
は、「幸希は幸希でいいんだよ。何も悪い事はしていない」と元気づけてくれました。
母は「アスペルガー症候群」の本をたくさん読んで多くの勉強をしていました。そんな母自身も、足
に障がいを抱え、体も弱かったのですが、欠かさず僕を道場に送り迎えしてくれました。
その頃家にはお金が無く、母は妹を保育園にあずけて仕事をしていました。そんなある日、道場に僕
を迎えに来た時、過労で倒れてしまったのです。母を介抱し、救急車にも一緒に乗って、僕と妹に「大
丈夫だよ」と安心するよう言い続けてくれた高上の先生方。今でも本当に感謝しています。
今僕は、縁あって高上で出会った平井先生のいる朝日道院で修練しています。気がつけばもう9年目。
いじめなどはもちろん無くなり、また、人がいじめられていると、素直に「やめなよ」と言える勇気も
ついて、いつのまにか悪い事は悪いといえる自分になっていました。中学3年生になった今では、部活
動ではロボット部の部長をつとめ、拳士としても、2ヶ月おきに開催されるお年寄りとの交流ボランテ
ィアに積極的に参加して楽しんでいます。
弱かった昔の僕しか知らない人には、きっと別人だと思われるくらいに心も体も変わりました。
そして現在は、母も妹も朝日の拳士。足が悪い母も、引っ込み思案だった妹も、みんな楽しく修練して
います。僕自身も、憧れの先輩の荒木さん、大塚さんに少しでも近づけるよう、少林寺拳法、部活、受
験の3本立てを、がんばっています。
「いつか、誰かが、しなければならない事」を、少しでも行動できるよう、僕は努力しています。
抱え込みすぎて辛くなることがあっても、平井先生に相談し、解決に向けたアドバイスや支えをいただ
きながら乗り越えています。僕には、偉大なる山下先生、そして不可能を可能にしてしまう平井先生が
いてくださり本当に幸せです。こんな僕を変えてくれた、ずっと一緒に支えてくださった多くの方々に
感謝します。
「人は変われる」・・・僕はそれを身をもって経験する事ができました。
障がい者だからこそ分かる事、できる事を考え、今後ますます心も技も磨いていきます。皆さんも一緒
によりよい社会づくり、そして人づくりをしていきましょう。
ご清聴ありがとうございました。